ばいばい(後編)

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「こんな時間に1人で外でて……。帰るなら僕も歩いて送ったのに」 「っ……う……」 夜に1人で歩くのに、誰かに注意されたことなんてなかった。 佐々さん、好きだよ。 そう思うと、ぽろぽろ、ぽろぽろ、涙の粒が目からこぼれた。 「もう……焦ったよ」 「っ……?」 浅く息を吐きながら、佐々さんが何か呟いた。 もさもさの頭をポリポリ掻いて俯くと、前髪が影を作って目元が隠れる。 「何度も言うけど、さ……。おたくには前科があるだろ」 「ヒク……」 「僕みたいな無愛想な人間でも、避けられればこたえるんだよ……」 「すみま、せん」 「でも……それでも急に帰るなんてことなかったのに、どうして? ……今泣いてることと、何か関係あるの」 「ヒッ……佐々さんは」 手提げカバンをキュッと握ってしゃくりあげながら、胸の中にある言葉を1つ1つ紡ぐ。 「私が、佐々さんの目の前からいなくなったら……佐々さんは、走ってきてくれるんですか」
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