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細「はぁ…はぁ…ぜぇ…ぜぇ…
や、やっぱり間に合わなかった…ゲホゲホッ!!」
数分後、
俺は咳き込みながら体育館に一人向かっていた。
正門から自己最高記録を上回らん勢いで走った俺だが、
結局体育館に向かう他の生徒と鉢合わせする形になり先生から『ゆっくりでいいから汗を拭いてからこい。』……と言われてしまった。
俺がとぼとぼ歩いていると、
通り掛かろうとした男子トイレから真っ赤な髪の男子生徒があくびをしながら出てきた。
和「ん…あっ!!
桐生!?」
桐「ふぁー?
おぉクマ!!!
お前もこの学校にいたのか!?
なんという偶然。」
俺はその生徒…桐生名城にハイタッチをする。
彼は中学校で三年間を共に過ごしたクラスメートで俺の友達だ。
チャラチャラした雰囲気と格好が彼の汚点なのだが、
中学校の頃は俺ととても親しく接してくれた優しさを持っているのだ。
因みに『クマ』と言うのは俺のあだ名で名付けられた理由は…
俺の太った体のせいである。
桐「あれ?
よく考えれば何故にお前一人でここに?
クマのクラスはもう行ったろ。」
和「あー…朝に色々あってみんなに間に合わなくて…
そういう桐生はどうしてトイレから?」
桐「俺?
決まってんじゃん。
俺様のヘアーが風で乱れちまったからな。
今直してたとこだ。」
和「あ、相変わらずだね…君は…」
俺は彼の発言に苦笑いをして戸惑っていた。
その時、
桐「おっとおけねぇ…
そろそろいこうぜクマ。
そうじゃなきゃ始まっちまう。」
和「そ、そうだな…
入学式の日に説教だけは嫌だしな。」
彼に言われて今の状況を理解する。
そして俺と桐生は体育館に駆け足で向かった。
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