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ゆっくりと壇上へとあがり、マイクのスイッチを入れる。
目線は自然に3組へといってしまった。
高校の先生が好きそうな万人受けをする挨拶を読み上げながら私は恭を探した。
あ
恭がいた。
驚いた顔で私を見ていた。
その時、緊張とか世間体とか高校の先生とか全部どうでもよくなって
「本校に……」
私は挨拶を止めた。
そして恭を見つめながら
「……私は……当初、本校を受ける気はさらさらありませんでした」
口を動かした。
「ですが、私は私で試したかったんです。ここに入ることができれば私は自分の想いに核心がもてる。きっとこの選択は正しかったんだと…自分の意志で決めたことだとある人にわかってもらいたかったから」
涙ぐみそうになった。
こんなたくさんの人の前で。
「いろいろ傷つけてしまいました。私は…自分ばっかで…喜んでもらえると思ったことがその人を傷つけて。だから最初からやり直したかった。この場所で。笑いあいたい。私だって半端な気持ちじゃないから」
恭は私から視線を外した。
どう思っただろうか。
また傷つけてしまっただろうか。
「3年後この学校に入ったこと、誇らしく思えるような学校生活を送りたいと思います。ありがとうございました」
一礼し、壇上を降りる。
きっと恭にしか意味が分からない挨拶だったと思う。
でも想いは伝えたつもりだ。
恭…私は……この選択正しかったと胸はって言えるよ。
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