空を飛んでただけなんだ…

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その日は、とてもとても大切な用事があり、僕は急いでいた。そう、そりゃあもう、頑張って飛んでたんだ。 ………それなのに! 突然の雷雨。 雷が、飛んでる僕に命中した。 ………しばらく、気を失っていたらしい。 気がつくと、僕はびしょ濡れで、跳ねた泥で泥まみれ。ボロボロに焦げた服…という、最悪な状態で地面に転がっていた。 身体中が痛い。 白い翼も焼け焦げだらけだ。 呻きながら、覚えたての回復魔法を試みる。キラキラと美しい光が僕を包み、傷が癒えていった。 ……良かった、成功して。 動けるくらいに回復した僕は、ヨロヨロと立ち上がり、空を仰いだ。 僕の目には、さっきの雷雨が嘘のような、爽やかな青空が眩しく映る。 ああ、僕は結構な時間、気を失っていたらしい。あんなにも、日が高い。悲しくなって、フラフラしながら近くの岩に腰かけた。 もう試験には、間に合わないだろう。 …あんなに、勉強したのにな…。 今日は、年に1回しかない、天使登用試験の日だった。もう5回落ちてるし、今回落ちたら家をつげ、って言われてる。 最後のチャンスだったのに、テストすら受けられないなんて…。 悲惨過ぎて涙もでない。 岩に座って放心する事、数時間。 泥まみれのまま乾いてしまって、服も髪もゴワゴワで気持ち悪い。それに、だんだん暑くなってきた。 こうしてても仕方ないし、帰るか…。 立ち上がりかけた僕の目に、何かがキラリと光るのが見えた。 なんだろう…? ゴツゴツした岩の隙間に、宝石みたいなものがチラッと見える。…足場は悪いけど、行けない事もない。 バランスをとりながら注意深く進み、僕はその宝石みたいなものを拾いあげた。 すぐそばに、人の手が見えた気がして、ビクっとする。 その瞬間。 またも雷にうたれたような衝撃が走り… 僕は、また意識を失った…。
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