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でも…レアモンスター召喚チケットから召喚されたそいつを見て、僕は絶望した…。
「はーーはぁっ!ついに召喚されたぜぇ!」
さも愉快そうに笑っている。
真っ黒の蝙蝠羽。頭からは捻じれた角。浅黒い肌に真っ赤な瞳。
どっからどう見ても、悪魔だ!!
そいつは、部屋の角で腰を抜かして震え上がっている僕を見つけると、ニヤニヤしながら近寄ってきた。
「これはこれは、可愛らしいマスターだ。天使がわざわざ悪魔を召喚とは…神に仕えるのに、嫌気がさしたのか?」
一生懸命、首を横に振る。
なのにそいつは遠慮なく距離を詰める。僕はついに壁際に追い詰められ、腕を抑えられてしまった。
怖い!怖い!
どうしたらいいんだ!
まさか悪魔なんか召喚しちゃうなんて!!
「背徳の味が知りたきゃ、殺しでも、夜の相手でも、何でも望みを叶えてやるぜぇ…?」
そいつは妖艶に嗤いながら、胸を触ってきた。その瞬間、僕の中の何かがキレた。
「発育に難ありだなぁ。美味いもん食わせねぇとなぁ。」
「止めろよっ!僕っ男だしっ!」
発育してたまるか!この野郎!!
「はあ!?」
そいつは間抜けな声をあげると、僕を上から下までマジマジと見る。
「いやいや…。」
まだ信じようとしない悪魔に、僕は無言でステータスを見せてやった。
あ、面白いくらいショック受けてる。
と思ったら、悪魔はガックリと膝をつき、「ヤローの胸、まさぐっちまった…」と嘆き始めた。
ムカつくヤツだな、この野郎!
泣きたいのは、こっちなんだよ!!
それから30分後、僕らは漸く話し始めた。僕はブリブリに怒ってたし、ヤツは尋常じゃなく落ちこんでいたからだ。
ただ、良かった事もある。
あれだけ怖かった悪魔が、もう怖くは感じなくなったから…そこだけは収穫かも知れない。
「ほら!いつまでもウジウジしてないで、ダンジョン造ろう。君はボスモンスターなんだから、シャキッとしてくれよ?」
「ちょっ…!いきなりダンジョン!?名付けとか、ステータス確認とかは?お前のステータス、ツッコミどころ満載だったぞ!?」
……へ?
なにそれ。ステータスにツッコミどころとか、あるわけ?
僕は訝しく思いながらも、自分のステータスを見てみた。
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