ハーデンベルギア(後編)

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  ……あれ。 今日は学校に来るまでの間白雪さんと会わなかったため、1人で教室に入った。 そしてすぐ、私の席に座って話をしているクラスメイトの姿が視界に映る。 例の女子生徒だ。 「柴田、そこの席来たよ」 「えー? ……ほんとだ」 つり目の瞳で見つめてくる柴田さんは、スッと立ち上がってそこから退いてくれる。 ――けれど。 「私だったら……自分より年下の人間と授業受けるなんて恥ずかしくて無理」 「プッ。こら柴田っ」 ……ほんとにね。 なにかと突っかかってくるね。 私が黙って席に着くと、3人組はいつもの定位置である教室の後ろに立って話を始める。 ……最初からそこで話せばいいのに。 柴田さんが言ったように、私も最初は悩んだ。 自分より年下の子と授業を受けること。 人から見た自分の姿。 でも、それでもこうして2年通ったんだ。 恥ずかしいとか情けないとか、今更それを理由に辞めるなんて勿体無いでしょう? それにきっと、社会に出て仕事を始めたらこんな小言なんて可愛いと思えるはず。 もっときつい事を言われるだろうし、今から我慢できなくてどうするの。 気にしない、気にしない。 もう二十歳なんだし、ここは子供の言ってることだからと割り切って―― 
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