ハーデンベルギア(後編)

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  ……なんて、言い聞かせるものの。 「バイバイッ」 「また明日ねーっ」 放課後の、周りで飛び交う挨拶を耳にしながら、朝言われた言葉を引きずっている自分がいる。 「なんか今日、元気なかったっすね?」 「白雪さん」 うそ、顔に出てた?と、私は咄嗟に明るい表情を作るけれど。 ……さすがにこれは不自然すぎる。 「フフフ、いつも通りの沙彩ちゃんだ」 「ハ……ハハ」 私の想いとは逆に、白雪さんはニッと歯を見せて笑ってくれた。 作った顔を“いつも通り”って言われちゃうのは、寂しい気もするけれど。 自分がいつもそうしてるせいなんだから……仕方ないよね。 これも、もう今更やめることなんて出来ない。
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