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「ね、沙彩ちゃんはどうしてそんなに華奢なの?」
「え? ……え、と」
突然話を振られ、病気のことを話してない白雪さんにどう答えればいいのか困った私は、言葉を詰まらせてしまう。
「し、白雪さんだって痩せてるのに……それ以上どこをダイエットするのって思う」
「えー? 見えない所についてるもんなんすよ、憎き敵は」
「クスクス、そうだね」
そう。
こうして人の顔色伺って、その時々に合った作り笑いをして。
あと1年乗りきれば、この狭い世界から抜け出せる。
乗りきったからってそこに、何かあるわけでもないけれど……。
「じゃあ、私はここで」
「ふーむ。そっちに沙彩ちゃんの“用事”があるんすね」
「ハハ。だから、白雪さんが想像してるようなものはないよ?」
「……ざーんねん」
これから教科書を買いに行かなくちゃならないから、こっちに用があるのは今日だけなんだけど……。
説明するのが面倒だったのか、無意識に話を合わせる自分がいた。
「じゃあ」
「うんっ、また明日」
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