少女から女へ

2/12
前へ
/38ページ
次へ
時は立ち1550年お龍と太郎が出会って二年目を迎えようとしていた。だが二人はほとんど会う事が無かった。 別にお互いに嫌いになった訳では無い二人は一国一城の主だししかも会える場所は越後と北信濃の国境となればそう簡単にはいかないのが現状。 初めて口づけを交わした日から数えても二人が会えたのは、たった三度ほどである会えなければ会えないほど恋は募るもの景虎ことお龍の想いは増す一方。 そんなある晩、春日山城からこそこそと動きまわって抜け出そうとしている黒い影があった。 「どちらに行かれます」 定満の声に黒い影はビクッとして硬直するそうこそこそしてたのは景虎だ。 「爺ぃ脅かすな」 振り向いて言うとそこには定満が立っているそれはまるで仁王様の様にも思え景虎の目は泳いだ。 「いや..なに..ちょっと散歩に行こうかと.....」 「こんな夜分にですか?」 「.....」 一旦誤魔化してみたものの見透かされてると思った景虎は黙り込んでしまい俯く事しか出来なかった。 「いい加減心の隙間を癒す為とは言え夜遊びするのはお止め下され」 定満は景虎がまさか恋をしている等とは思わず言葉を発した。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加