お龍と太郎

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景虎は心に大きな闇を抱えて居た戦国時代と言えば下剋上が当たり前の世景虎が住む越後も例外では無かった。 上杉家を中心に長尾家への謀反が幾度も繰り返される当初景虎は虎千代姫と言う名で城下の寺院に預けられていたのだが御家が亡くなると噂話を聞いて栃尾城に戻ってしまう。 元々兄妹の中でもずば抜けて人を引き付ける魅力を持っていた景虎は一気に家中を纏めて栃尾城を脅かす者を次から次へと成敗してしまい内乱をあっという間に鎮圧してしまった。 景虎は上杉家や長尾家にとって正に救世主であった。 武力抗争に嫌気を差していた兄晴景は長尾家を救えるのは景虎のみと養父の上杉定実にここぞとばかりに談判する すると定実の申し出により景虎は兄の晴景と父子の縁を組む事になった。 つまり長尾家当主を景虎に譲って晴景は隠居表の舞台から一線引いてしまったのである。 景虎は自分の生まれ故郷と家族が平穏なら其れ丈で良かった。だが彼女の戦略、采配どれを取っても勝る者が居なかったその事が彼女の不幸でもある。 幾度もの戦いで亡くなって行った者への悪罪感等が彼女を苦しめる。 そして今夜も景虎は一人で闇の中へと消えて行く心の闇を癒す為に
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