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「ねぇ春太郎」
「.....」
「ねぇってば」
お龍は痺れを切らして話しかけたが黙り込んでいる太郎を見て不貞腐れる。
「春太郎何で黙り込んでいるの?」
お龍は胸元を隠して太郎の前に移動した。
「春太郎って俺のことか?」
「他に誰がいるのよ」
太郎は大笑いした。
「春太郎ってお前の馬の名前かと思ったぜ」
「ハァ~!」
太郎の言葉に頭きたと言う感じのお龍
「じゃあ何て名前よ」
「太郎!」
お龍は眉間にシワを寄せて疑いの眼差しを向けた。
「こないだは初めての裸の付き合いで緊張して聞き間違えたんだろう」
太郎はそう言うと頭を撫でてお龍は膨れっ面をする。
それから二人は入っている温泉の膏薬について笑いながら話し合う。
満天の星空の下で二人は緊張も解れて充実した時間を過ごすのだが話はお互いの家族話になる。
親父は頑固者で息子の俺にも構わないひねくれていて周りに嫌われて居たと言うお龍は太郎を冷ややかな目で見る
「何だその目は」
「太郎も十分ひねくれていそうだよ」
太郎はお龍の頭を軽く小突く
「家を追い出されて正々したと思っても何か寂しくなる時があるんだ」
太郎は胸の心中を語った。
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