お龍と太郎

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お龍は温泉から這い上がり着物を素早く巻き付けた。 「これ以上居たらひねくれ者の餌食にあいそうだから帰るね」 お龍の言葉に太郎は露骨に面白くない顔をする。 「この先体に触れて構わないのは毘沙門天様だけよ」 お龍は笑顔で舌を出して言った。 「毘沙門天だぁ~!」 太郎は参ったという顔をして人差し指でこめかみを掻いた。 「ねぇ今度また会えるまで愛馬を交換しようか?」 「無理だぞ」 お龍の提案に太郎は苦笑いをしたがお龍は馬に近よりそっと撫でたその様子を見ながら上がって着物を巻き付けながら太郎が近づく 「白夜このおじさんひねくれているけど悪い人じゃ無いみたいだから遊んであげてね」 お龍が言うと白夜は少し興奮しながら二三度頷いた。 「おい俺の馬はお前には無理だ」 太郎の言葉もそっちのけでお龍は股がり馬の首を優しく撫でた。 「大丈夫よ白夜を宜しくね」 そう言うとお龍は早々と駆け出して行った。 「何であいつ振り落とさないんだ」 太郎はポツリと言うと白夜に股がった ひひぃ~ん 白夜はからかう様に前足をあげると太郎は尻餅を着いた。 上杉謙信対武田信玄一勝一敗である。
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