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景虎の言う通り養父の上杉晴景は政景の口車に乗って反対派であったしかもじゃじゃ馬などと言って毛嫌いしていたのである。
景虎は少し風邪を引きやすい体質だったそれを理由に政景は難癖を付けて当主にしても長くは勤まらないと主張したのである。
ある日景虎が高熱を出し助からぬと言う噂が飛び交った晴景は自分の担当医だった斉藤朝信を景虎の元に使わす早い話が後何れくらいの寿命か偵察に出したのである。
景虎は高熱に魘されながら斉藤朝信が黒い影をバッタバッタと斬り倒す夢を見た。
景虎は回復をすると慎ましく朝信にお礼を言って越後の鍾馗と称号した鍾馗(しょうき)とは病から護る神的な呼び名である。
斉藤朝信は元々医者だったのでそう呼ばれる事に照れたが感謝して晴景の所に戻って景虎様以外に当主無しと説得したのである。
前にも述べたが繰り返す戦に疲れていた晴景は思い直し景虎派に鞍替えしたのであった。
「養父でいて下さる晴景殿に失礼いたした」
「いやいや構わん」
景虎は余計な事を言ったと本心から思った勿論景虎を信頼しきっている晴景にとって景虎の言葉は拗ねて可愛い奴だと映っていた。
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