想い人と想われ人

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「勘助実はな頼みが有る」 晴信は辺りを見てから言うと勘助はその仕草から女性の事だろうと思った。 「諏訪の方様の事ですか?」 「いや違うのじゃ」 勘助は少し戸惑った。 「人を探して貰いたい」 「人.....?」 「そうじゃお龍と言ってな年の頃なら十七、八の頃じゃ」 晴信はそう言うと国境の温泉で出会った話とお龍の特徴等思い出せる限りを勘助に伝えた。 「分かりました手を尽くしてみます」 「うむ!頼んだぞ」 「かしこまりました!で見つかり次第甲斐にお連れしても宜しいのですか」 「ならぬ居場所が分かれば良い」 側室にするために探せと言っていると思ってしまった勘助は話が分からんという顔をした。 「お龍の居場所が分かれば良いのだもし生活に困って居たら助けてあげねばならぬ」 「お龍と申す者は何者で御座る?」 「余計な事を詮索するな!それと城下の呉服屋に西陣織を預けておるそれも渡して欲しい」 「ほう~西陣織ですか」 勘助は少しニヤ付いて言った。
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