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「爺ぃ頼みがある今日だけ.....今日だけ今日だけで良い忍ばせてくれぬか?」
景虎の言葉を聞くと定満は少し悩み無言で屋敷内へと引き返して行く様である。
「爺ぃ~」
「今日だけですぞ!」
定満は振り向き苦笑いをして答えた景虎は消えて行く定満の背中に寂しさを感じながらしばし見送った。
『益々優しく成られた』
自室に戻った定満は嬉しそうに笑みを浮かべ心で呟いた。
優しく成れば成るほど強い人間にも成れる。人間とはそういう二面性の心を持った生き物で有ると定満は考えていた。
季節は夏の最中お龍と太郎の逢瀬場所になっている温泉は相変わらずひっそりとしている。
「勘助今度こそ村上義清に勝つぞ!」
「御意に!」
太郎こと晴信は諏訪の城にて村上との戦の準備を始めていた。
「父上お願いが御座います一度甲斐へ足を運ば去れませぬか?」
晴信と勘助を追う様にして嫡男の義信が詰め寄って来た。義信はこの時既に13才にして元服しており同盟国の今川から嫁を目取っ手いる武田家期待の嫡男である。
ドカ!
晴信は振り向き様に義信を殴った。
「御屋方様~!」
「父上何をなさいまする!」
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