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真夜中静まり返った獣道を馬に股がり悠々と進む女がいるそう長尾影虎のちの上杉謙信である。
時は天文十七年(1548年)
越後、北信濃の冬は足音を立てて目の前まで来ている所々に雪がちらほらと見えだしたその中を白馬は白い息を吐き進む。
しばらく愛馬に揺られてると温泉が見えて来た景虎は近くの樹木に白馬を繋いだ。
「ここで待っててね」
景虎は愛馬を撫でながら話しかけた。
「そぅ~れ!」
一気に裸になると景虎は大声と共に飛び込んだ
静けさの中で冷えた体が温まり気持ち良くなってくる景虎は満天の星を眺めた彼女にとってそれは最高の一時だ。
どのくらいの時間が過ぎただろう景虎は少しうとうととしていた。
「う~~ん」
眠気を覚ますように思いっきり背伸びをしてみる。
バシャ!
背もたれにしていた岩場の後ろで音がした緊張が走る。
『誰かいる』
景虎は音を立てずに前へ泳いで短刀を手にすると口に加えて元の場所へ戻り様子を伺った。
一分、二分秒刻みが凄く長く感じるそのうち背後で動く気配がした。
「覚悟!」
景虎は到底女の子とも思えぬ早業で相手の首に短刀をかざして囁いた。
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