お龍と太郎

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短刀を突きつけた相手は男だったしかも真っ裸だ男は静かに両手を上げる。 「何で俺が襲われなければならない」 男がポツリと呟いた。 「岩場の影に隠れて私を監視していただろう」 「クスッ!」 「何が可笑しい!」 短刀を突きつけられても動じない男の態度に少々苛立ちを覚える景虎、彼女は短刀の刃をアゴへと向けた。 「おいおい勘弁してくれよ第一お前間違ってるだろう」 「な...何がだ!」 男は景虎の一瞬の言葉の迷いを読み取ると短刀を持っている手首をガッチリと掴みそのまま一本背負いをした景虎の体は宙を舞った。 バシャ~ン 飛沫が上がり大きな音が森林に木霊する。 ブクブク と体が沈んだ。 長尾影虎と名乗っていても中身は女の子である男とは明らかに力が違う景虎は慌てて立ち上がり握りしめたままの短刀を男に向けた。 「おい娘!」 男は真顔でゆっくり歩み寄ってくる。 「く...来るな!」 景虎の言葉に男はクスリと笑って近寄る事を止めようとはしなかった。 月の逆光に写し出された男は不敵に笑っているのか判断しずらいが口元が微笑んでいるのは事実だ。 「俺は男でお前は女だぞ」
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