力太郎

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1997年ー 秋場所を終えた駒ノ山部屋ー 「佐賀、挨拶周りがあるんだろう?」 駒ノ山親方(元・幕内、駒ノ富士)は、喜勢川親方を呼んで言った。 喜勢川は、秋場所限りで引退した駒ノ佐賀(元・関脇)だ。 「はい。地元で後援会が解散会を開いてくれるとの事で。」 駒ノ山が煙草に火を点けた。 「それは感謝せんとな。部屋の後援会も何かしようとしてるみたいだ。」 喜勢川が頭を下げた。 「ありがたいです。 それと、地元の方ですが、力太郎の後援会結束式も兼ねるとの事でして。」 駒ノ山は頷いた。 「ほう、そうか。あいつも部屋頭だからな。連れていかんとな。 あいつも入門してから佐賀には帰ってないだろう。」 喜勢川は「みたいですね。」と頷いた。 それと、と駒ノ山は煙を吐いた。 「あいつには、付け人を連れて行った方がいいだろう。」 喜勢川は頭を掻いた。 「そうなんです。ただ、秀さんが鹿児島に帰省するみたいで、妻木も今度初土俵ですから・・・」 駒ノ山は煙草を消すと、腕を組んだ。 「そうか・・・あいつ一人は危険過ぎるからなぁ。」
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