あの町へ

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* (もうすぐだ……) 目的の場所が近付くにつれ、僕の足は重くなる…… 最初の勢いはどこへやら……ふがいないことに、ついには、電信柱にもたれて僕は立ち止まってしまった。 『本当に良いのか……』 『当たり前じゃないか、僕はずっと長い間考えて、考え抜いて…そしてやっとここに来ることを決めたんだから。』 ここまで来て、自分の中でこんな葛藤が起きるなんて思ってもみなかった。 (……馬鹿だな。) すでに答えは出てるんだ。 来ると決めたからこそ、僕はここに来た。 ここに来るまでに、さんざん思い悩んだんだ。 もうこれ以上、迷うことなんてあるものか。 「よしっ!行くぞ!」 自分に言い聞かせるようにそう言うと、拳を固く握りしめ、僕は再び歩き始めた。 目的地はすぐ傍…… そこの曲がり角を曲がれば、すぐにあの家が……
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