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1、出会い
ワタシハテンソウニンギョウデス。
オキャクサマノイキタイトコロニオクルノガシゴトデス。
イキタイトコロヲイッテクダサイ。
アンゼンアンシン、ジンソクニオハコビイタシマス。
「おばあちゃんのところに送ってください」
ある、秋の日。将来的には国外の国々とも協力して、世界規模で行き来出来るよう、転送人形を使おうと言う案が出されて少しして。
試験的に一部の地域で転送人形の試験運用が始まった。
まずはスイーツ州内のみでの転送開始。
行き先が曖昧であったり、魔法遮断区域などやそうでなくても入場を制限される場所に飛ばないよう、転送場所は固定とし各地点に人形を配し、行き先を選んで貰う。
ゆくゆくはもっと細かいところにまでサービス出来るようになるかもしれないが、それでも移動のほとんどが足や馬車、自転車を使う他なかった一般人には恐々ながらも受け入れられたようだ。
そこには、「人形」と言うものに対しての認識と信頼がある。
人形はプログラムされた命令をこなす道具であり、そこから逸脱することは稀である、と。
過去に起こった恐ろしい出来事が発覚したのも、あくまで故障によるもので、本来命令されたことしか出来ない筈だから。
その人形、元は廃棄人形とも呼ばれた彼らを再起動するよう進言したクリストファー伯爵の意志とは少し違うものの、世間はそうして、待機所に無表情な転送人形がいるのに時々ぎょっとしつつ、便利なものがあるものだと関心を持って行ったのだった。
「……オバアチャン」
こくり、と転送人形に伝えて頷いたのは、人形よりも背の小さな少女だった。
「テンソウサキハドコデスカ?」
お客様には愛想良く。
正確な位置がわかるまで丁寧に。
教えられた通りに人形が聞き直すと、
「……おばあちゃんのとこ、です」
住所と聞いても幼い子では分からないのかもしれない。
しかし、仕事を始めたばかりの人形には、そうした情報は入力されていない。
「おばあちゃんとこ、知らないの?」
「モウシワケアリマセン。キメラレタバショイガイテンソウデキナイキマリデス」
「……」
マニュアルで、送ることが出来ない時の答え方を言ってみても、少女は困った顔で見上げるだけ。
「こーんな大きな建物なの」
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