朝はもうすぐ

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 全部閉めて小さくため息をついた。  いいのだ、分かっているのだから。  身にまとう、布を全部取って寒い浴室へ勇気の一歩を踏み出す。  この家の北側に位置する浴室は老人だったら心臓麻痺でも起こしちゃいそうな寒さだ。  オレが冬はお湯に浸かりたいと我がままを言ったらそれ以後その通りにお湯を張ってくれている。  身体と頭を洗ってゆっくりお湯に浸かる。  お湯の温かさに足先がじんじんしてきた。  あの化粧の濃い女で友人は勃起するのだろうか?  ……うん、まあ、するだろう。  真剣に見ればオレだってするし。  友人とは違う見方で。  お湯を両手で掬いごしごしと顔をこする。  いいんだ、  いいんだ、悲しくはない、分かっていることだから。  風呂から上がって洗面台で髪を乾かす。  ゆっくり入ってたからもうそろそろ奴らのSEXも終わる頃だろう。
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