朝はもうすぐ

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「昭介の望む形でいい」 「……何言ってるの、」 「俺はずっと今まで通りでいたいから、昭介がいいようでいい」 「なにそれ」  オレは目を見開き、友人は変わらず難しい顔をしている。  どうしよう、友人がおかしなことを言い始めた。かなり間違っている。間違っていると思う。 「帰ろう」 「や、いい、いやだ」 「なんで? もういいだろう」 「いやだ、和也おかしいよ、そんな、……和也、オレの事好きじゃないだろ? なんでそんな」 「は? 好きだって前も言ったよ」  友人の真顔がさっと曇る。  咄嗟には思い出せない。ああ、確かに聞いた。好きは好きだと言っていた。 「……そ、それは、……それはだって、友達として、好きってことだろ? オレのとは違う、」 「は? 好きは好きだろ」 「いや、だから、……好きにも種類が、」 「種類って、そんなんあるかよ、好きは好きで一個だよ」 「……ええ? え?」 「その先があるかないかだろ? 友情以上になれるかどうかだろ? ……俺は昭介ならいい、先に行ってもいいと思ったよ」  そういうものなのだろうか?  分からない。自分は違うと思うけど、和也がそういうならそうかもしれない。  でも、……でも、いつの間に先に行ってもいいと思ったのだろう。 「どうして? ……そんな……急に」 「急じゃない、昭介から聞いたの、クリスマスイブだったろ?……もう一月は経ってる、その間ずっと考えてたから」
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