朝はもうすぐ

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 さっきまで暖かかな所にいたせいで、夜風に冷えた身体が震えた。 「夜中に飛び出すから」 「……」  誰のせいだよと思う。 「何時になったかな、今」 「……さっき三時半過ぎてたよ」 「もう夜中通り越してんな、もう朝になる」    なんとなく責められているような気がして閉口した。 「探した」  横を見ると友人もちらりと自分を見る。 「駅も行ったし、ここら辺の店覗き回った」  またおまえのせいでと含ませた言い方をする。友人を見ると「何笑ってんの?」と言われた。  それはそうだ、好きな人に探したなんて言われたら誰だって嬉しくなる。  友人にはその気持ち、分からないのかな。  好きの先って言い方してた友人の『好き』は、オレの『好き』の半分くらいの長さなんだろうなあと思う。  その長さがいつかオレを超える日が来たら、友人も嬉しくてにやにやするのかもしれない。  いつか来るのか、  いつか来ればいい、明日の朝、明後日の朝、明々後日の朝、いやそんなに早いはずないか。  一か月、いや半年……ううんもっとかかったっていい。  そんな朝が友人にも来たらばいいのにと思う。  いつか、そのうちに。  END
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