朝はもうすぐ

　洗い髪はちゃんと乾かさないと駄目。オレはすぐ風邪をひいてしまう性質だ。
　丁寧すぎるほど丁寧に乾かす、いつもの倍の時間はドライヤーに費やした。
　よし、こんだけ時間を掛けたんだ、もう終わってもいい頃だろう。
　ドライヤーを洗面台の下に直し硝子戸に近づくとまだ喘ぎ声が聞こえる。
　まだやってんのかよ……
　オレは深くため息をついた。
　開閉時ガタガタとうるさいガラス戸に手をかけゆっくり開くとそのガタリと鳴る最初の音でテレビの卑猥な音声が消えた。
　部屋を見ると友人がリモコンでDVDを消したらしく深夜のトーク番組になっていた。

「あれ、なんで消しちゃったの？」
「ん？いや、もう終わるとこだったから」

　AVを途中で消すっておかしくない？　一連の流れはちゃんと見てあげなきゃ駄目じゃない？

「……最後まで見ていいのに、つけていいよ」

　いやだけどね。
　でも自分に遠慮されるぐらいだったら我慢するから見て欲しい。

「いや、いい」
「んじゃオレ見よっかな」