朝はもうすぐ

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 友人の手にあるリモコンを取ろうとすると友人はリモコンをオレから遠い方の手に持ち替えた。 「なんだよ」 「ダメ、しょうは見ないほうがいいよ」 「え、なんで?」  オレは首を傾げる。冒頭は一緒に見ていたんだ、不可解極まりない。  それにそんなプレゼンをされると見たくなるのが人情じゃあないか。友人にもう一度なんで、と詰め寄る。 「さ、さんにんで、……してるから」 「それが?」 「しょうはこういうのあんまり興味ないって言ってただろ? だからやめた方がいいよ」  興味ない? そんなこと、言ったっけ?  記憶を探り始めたオレはあっと声をあげた。  一年ほど前、ここじゃない友達んちでAV鑑賞会があった。  そういえば。  そうとは知らず合流したオレにそこの家主が「どれが見たいか選べ」と選択権をくれたことがあった。  その時ずらりと並んだAVコレクションを前に「オレあんまり興味ないんだよね」と正直に言い選択権を隣にいた奴に委譲した。どうやら友人はそのことを覚えていたらしい。 「そんなこと、言ったっけ。ねえ、激しかったの、3P」  「さ、さん……いや別に。俺も風呂行ってくる」  赤い顔をして友人はそそくさとオレの横から立ち去った。勃起したのか、股間チェックは出来なかった。  
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