宝物は腕の中 昭介視点

9/27
前へ
/151ページ
次へ
「キスしていい?」  聞こえた単語に身体が固まった。 「……あ、オレとするのき、気持ち悪くないの?」 「そんな訳あるか。してもいい?」  あきれ顔の和也が間近過ぎて顔、いや、身体全部の血が沸騰するみたいに体温が上がっていく。触れられている所が特に熱い。 「……う、うん」  ゆっくり近づいてくる目の前の影にぎゅっと目を瞑った。  がちがちに力の入った唇を撫でるように何度も重なる。  ちゅちゅっとリップ音を鳴らすものだから張っていた緊張の糸がぷつんと切れた。 「ふ、」  唇が少し離れた隙に少し笑ったオレを見て和也も笑った。  二人してくすくす笑う。笑いながら何度も唇を合わせた。  触れるだけだったそれが食むように上唇を舐って引っ張る。  次は下唇。引っ張られ、それが楽しくてオレも仕返しをする。  やって、やり返されしてる間に和也の手はパジャマのボタンに移動していた。  夢中で気が付かなかった、キスを振り切って下を向いた時には上二つ外されて三つめに手がかかっていた。  和也は目を細め、また唇を重ねてきた。  唇をぺろぺろ舐められてももう和也の手が気になって仕方がない。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

854人が本棚に入れています
本棚に追加