宝物は腕の中 昭介視点

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「俺も興奮してる、一緒だよ。今も昭介がこんなに近くにいてドキドキしてるよ」 「……」 「でも、好きだから、キスしたい、抱きたい、恥ずかしいよりそっちが強い。昭介は?」  したいに決まっている。  背中をさすられて、指は優しく髪をすく。ぞくぞくする、どこを触られてももうだめだ。 「……分かった、じゃあ離れたらすぐして、何でもどうでも、和也の好きにしていいから、すぐして」  ゆっくりされると心臓が膨れ上がったなにかで押し潰れてしまう。 「すぐ? うーん」  肩を挟んで身体を離した和也は「俺はゆっくりしたいけど」と笑いながら頬を撫でた。  撫でていた手が顎に滑り人差し指でやわやわと撫で始めた。 「すぐしてって、言ったのに……」 「うんうん」  人差し指が動く横で親指が唇に触る。  確かめるように輪郭を撫でた親指が今度は唇を割り口の中へ入ってきた。  何するんだろう、良く分からなくて身体を引くと頭が壁に当たった。 「キスしていい?」  さっきから何度もしてるのに今更なんで聞くんだろう、不思議で首を傾げる。  小さく頷くとまた唇が重なった。  ああ、なんで聞いたか分かったような気がする。  唇の隙間から侵入してきた舌が口の中を弄る、全然違う、さっきのと。  同じ「キス」とは思えない。  口の中のあらゆる所を舐め回し舌を絡める。艶めかしく動くそれにオレの思考はトロトロに溶かされていく。  頭に靄がかかったみたいにぼんやりして、酔っぱらったみたいにくらくらする。  身体が火照って汗ばむ。  ゆっくり離れた和也がオレを見ている。  羞恥心がいつの間にが溶けて消えた。もっと先に進みたくてしょうがない。
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