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「きっ、きたない、から」
離して欲しいけど手に力が入らない。
じゅっと濡れた音を立て強く吸い上げられ「あぁん」と喉から聞き覚えのない声が出た。
甘く高い自分の声に身体が縮んで冷汗が滲む。
自分が気持ち悪く思われてないか気になって、でも口を開けばまたあの声が出そうで、どうしようもなく両手で口をふさいだ。
押せないから逃げようと身体を捩ってみるけれど、舌で擦られる刺激に負けてただ和也の下でじたじたしているだけだ。
「なにしてるの」
口を覆った手に気づいた和也が股間から顔を上げた。
ぶるぶると首を振ってみせる。
和也は怪訝な顔つきでその口元を隠した手首を引いた。
「なに、どうかした? 気分悪い?」
首を振ってその視線から逃れるように顔を背ける。
「痛かった?悪い」
どうやら自分の仕業でオレが嫌な思いをしたと勘違いしたらしい和也はごめんと呟いてこめかみにキスを落とした。
「い、いや、違う」
急いでそう言ったオレに和也の目が疑問を投げる。
すっごく言いたくない。でも勘違いして謝った和也を安心させたくもある。
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