宝物は腕の中 昭介視点

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「こ……声が」 「声?」 「おかしくなって、」 「ああ」  納得したように頷いた和也は「おかしいのがいいんだよ、聞きたい」と言う。  どこがいいのかと思う、けれど和也が言うならいいのかもしれない。  神妙に頷いたオレに微笑んで和也はまた下に顔を移動させようとする。 「いや、もういいから!」  オレは上体を起こして股間を隠した。 「いやまだいってないだろ?」 「いい、次は…オゥ、オ、オレがする!」  背筋を伸ばしたオレを和也が困惑した表情で見つめる。   「いやー、しょうちゃんには無理なんじゃ…」 「か、和也がしてくれたから、交代。で、出来るもん」 「あー、ん、じゃー、無理だったらいいからね」 「……う、うん」  頭を撫でられて温かい目で見られてしまった。今まで気が付かなかったけど和也はまだ一つも脱いでいない。  ちょっと腹が立つ。  胡坐の足から短パンと下着を脱がせようと腰のゴムに手を掛ける。  さっきの和也みたくするりとは抜けない。  腰を上げてもらい足を動かしてもらい、その手際の悪さが経験の違いのようで臍を噛む。 
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