宝物は腕の中 昭介視点

19/27
前へ
/151ページ
次へ
「いやぁ」  しつこく周りを舐め回し舌で刺激する。むずむずする。べちょべちょに濡らされ今度はまた指がくる。 「あ、」  ゆっくりと指が入る。  周りをマッサージするように柔らかく押す動きを繰り返す指は痛みを与える事はない。 しかしひどい違和感にオレは唇を噛む。正直気持ち悪かった。指の皮膚が中に引っかかるような感じも皮膚が切れそう怖いし、やはり触られるように出来ていないそこの異物感は強い。 「痛い?」  息をつめている今、返事は出来ず首を振った。  顔を和也の太腿に押し付けぐっと耐える姿勢をとると指が抜かれ「ちょっと、いいか」と和也が下から出ていった。  ベッドにそのまま横たわる。細くしかなせなかった呼吸を大きくした。  心臓の波打つ音が耳に響く。指がもう入ってないのに、触られたところにまだ指があるような気がする。  和室から一旦出た和也が戻ってきた。  うつぶせのオレの肩にキスをして、和也は違和感の残るそこにぬるっとした液体を塗り込めていく。 「っ、」 ゆっくり入った指が中を慎重に進む。さっきまでの引きつるような感じは無くなった。 「痛い?」  痛くはないから首を振ったけれど、不安が募る。  和也とこういう事をしたかった。そうしてくれないと、ずっと恋人ではいられない気もしたし、どんなものかただ単純に知りたかった。  しかし行為が目前に迫るとどうしようもなく怖い。  布団に顔を埋め、嫌だと言おうかどうしようか迷う。きっと言ったら二度とはない、そんな気がする。……それは、とても困る。  葛藤の間にも指は中をほぐすように押し広げる。  優しいけれど止まることはない指に気を取られて考えがまとまらない。  シーツをぎゅっと握りもうちょっと、あとちょっと頑張って、無理って言おうと思う。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

854人が本棚に入れています
本棚に追加