宝物は腕の中 昭介視点

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「しょう、すこし、力、抜ける?」  首を大きく振る。喉が詰まって声が出ない。  痛い、もう抜いてほしい。  でもそう言ったらきっと止めるだろうから口にするのを躊躇う。  動きが止まったのでぎゅっと閉じていた目を開けると目の前に和也の顔があった。  唇が重なる。  一度触れて離れたそれが「好きだ」 と掠れた声を出した。   聞いた途端身体が力を抜いた。  自分でどうにも出来ない事が、和也は一言で成した。もういっそ笑える。  深いのが欲しくて舌が和也を追いかける。   気が付いた和也が思い通りのものをくれた。  首に巻き付いて夢中になっていると下にまた動きを感じた。  脱力した状態の不意を突いた和也はずいと腰を進めた。  先端の太さを既に呑んでいたようで痛みは感じなかった。  離れた唇が「痛い?」と聞いた。  首を振ると身体が離れまた少し進む。  ホッと息を付いた和也が腕を伸ばし髪を撫でた。
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