宝物は腕の中 昭介視点

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「ぜんぶ入った」 「え、」  思わず顔をあげ自分を見ると確かに自分の身体と和也の身体が繋がっている。 「あ、」 「スゲーな、出来た」 「あ、」 「お、おい、ちょっと」  和也が焦った声で足を持っていた手を離し顔を寄せる。 「なん? 痛い」  ぶんぶんと頭を振る。 「違う、ちが、」  あとからあとから涙が溢れて止まらない。  拳を目に押し当てる、痛いとか、気持ちいいとか、そういうのと違う、嬉しくて溢れる。 これでもういいのかな、ずっと一緒にいれるのかな  髪を撫でる、手が優しく何度も行き来する。  顔から手を離すと涙の向こうになんともいえない顔をした和也が見える。  繋がったままぎゅっと抱き締められた。  「中が、温かくて気持ちいい」  耳元で甘えた声が囁く。胸がいっぱいに膨れてどこかに飛んでいきそうで、頬に張り付く愛しい人の頭を抱き締めた。
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