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ガラスの向こうに聞こえるモーター音が幸せだ。
あと二年、この幸せを味わったらその後は捨てようと決めている。
小学生の時から長すぎる片思いをしていて、現在も継続中だ。
中学三年で今住んでいる県に引っ越して、ようやく友人への恋心を忘れられるかと思っていた。
寂しいけれど道ならぬ恋に苦しんでいたから逆にラッキーかも、と自分に言い聞かせた。
しかし友人からは毎日のようにメールがあり、高三でこっちの大学を受けると聞いた。
文字の向こうに友人がいる、忘れる暇がなかった。
友人がこの県に出てくると決まったとき、嬉しくて嬉しくて、オレは一緒にいられるだけでいい、そう思った。
オレに恋をすることはなくても、友人にとってオレは『親友』という特別なポジションにいることは知っているから。
でも今までに二回、友人に彼女が出来た。
覚悟していた事ではあったけど、きつかった。
友人は友達を大事にするタイプだし、彼女が出来たからってそちらばかり傾く事はなかったけれど、会う時間はぐっと減った。
もしこの部屋を訪ねたそのとき、友人が彼女とイチャイチャでもしていたらなんて考えが浮かんて来て、自然と足が遠のいた。
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