朝はもうすぐ

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 立てつけの悪い硝子戸が無理に動かされガタガタと音を立てる。  さっぱりした顔の友人がオレを見て「顔、真っ赤だ」と笑った。  手には数日前、友人が村田にノートを貸した礼の発泡酒があった。友人は酒が好きで、強い。  隣に友人が座ったのでオレはベッドに移動した。  寝転がってDSに夢中になっているとテレビを見たまま友人が口を開いた。 「新谷ってさ、」 「うん?」 「昭介の事好きなんかな」 「えーー、なにそれ」    新谷というのは同じ学部の同級生で、バスケ部の男だ。最近やたらと話しかけてくる。 「いや、だって昭介と話すとき顔赤いからさ」 「そうだったかな」  とぼけたがもちろん気が付いている。  いい男とは言い難いが、友人ほどではない長身でハの字眉をしている。  好き、とは言いすぎじゃないかと思う。  話しかけられるとき物凄い緊張感を纏っているのは伝わってくるけども。
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