朝はもうすぐ

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 珍しく厳しい声に、批判されてる気がした。  へらへらだって。ひとの気も知らないで。なんだか胸がむかつく。熱かった顔がさらに熱くなる。 「気がないなんて、言ってないし」  オレはぼそっと呟いた。 「は?」  DSを壁際に置いてうつぶせになった。  友人の枕に顔をうずめる。まさに売り言葉に買い言葉た。どうしよう、変なことを言ってしまった。   「昭介、まさか」 「冗談だよ、冗談」  「あ? ああ、ああ、うんもう、びびったよ、悪い冗談やめろよ」  友人の気の抜けた空笑いが部屋に響く。  悪い冗談、か。  そうだよなあ、この友人にとっては悪い冗談だ。でもオレにとってはほんの少しだけ本気だった。  オレ達、違うんだなあ。  違うんだよなあ、こんなに好きなのに。  泣きそうになって唇をかんだ。  自分だけ、物凄く不幸な気がする。悔しくて哀しくて頭に血が上った。
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