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確かこう胸をはだけさせて、
「触って……」
恥ずかしすぎて上目でちらりと友人の顔を見るとさっきと何ら変わらぬ驚き顔だった。
恥ずかしいけど触ってくれないのはやっぱり寂しい。
ふり払われてもいい、そう思いながら友人の右手を取って手のひらを胸に当てた。
友人の手のひらはとても温かい。
自分で押し付けてるだけなのにすごくドキドキする。
両手で友人の手を胸に二回押し付けた。
この手の感じ、きっとずっと忘れられないだろうなと思う。
「あー、やっぱりオレじゃゆーわくにならないかあ」
えへへと冗談っぽく笑って膝から降りて、「歯磨きしてくる~」とその場から逃げた。
洗面台の前でオレは深くため息をついた。
おかしな冗談だと笑い飛ばしてほしいし、自らそういう場面を演出しなければならない。そのためには次部屋に入るとき、いつも通り、明るく振舞い必要がある。
気分を変えるためゆっくり歯磨きをする。
顔も洗って気合を入れオレは部屋へ戻った。
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