朝はもうすぐ

28/102
前へ
/151ページ
次へ
 声をかけると新谷はオレに一歩近付く。 「あの、ちょっと話があって。いいかなあ?」 「うんいいよ、どこか入る?」 「あ、ううん、もう遅いし、藤谷君三津谷駅でしょう? 僕もあの駅なんだ、だから歩きながらでも、いいかな?」 「うん、オレは構わないよ」  横に並ぶと新谷を見上げなきゃならないことに今更気が付いた。180はあるのかなと思う。 「あのね、その、あの、……藤谷君は里見君と付き合ってるのかな?」  随分言いにくそうに新谷はそう切り出した。  「は? オレが? 違うよ。なんで?」 「あ、うん……」  街灯の灯りが掠める場所で見た新谷の顔は赤かった。  その横顔を見てオレはピンときてしまった。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

854人が本棚に入れています
本棚に追加