朝はもうすぐ

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 明日はクリスマスイブ。  町も人も、なんとなく浮かれている。  新谷とオレは頻繁に連絡を取り合うようになった。  誰にも言えない秘密を共有出来る相手を初めて見つけた、新谷の存在でオレの自己肯定感が増したのは確かだった。  今度新谷が通っているという、こっち側の人間が集まる店に連れて行ってもらうことにしている。    友人からもメールは来る。そのなかに誘いのメールもあるけれど、忙しい、といつも同じフレーズを打ち返している。  今、実験中だ。  どのくらい会わなければ気持ちが薄れるのか。  長い付き合いの友人だから、そう簡単には気持ちを忘れられない。ふと、無性に会いたくてたまらないときがある。  新谷のお陰で少し気持ちは明るさを取り戻しているけれど、まだまだ我慢が必要みたいだ。  ぎちぎちにバイトを入れて寂しくなんかない自分は整えたから、あとはただひたすら働く。  オレは意気揚々、今日も職場に向かった。  上がれたのは十二時を回ってからだった。  もうクリスマスイブじゃあないかと思いながらレンタルビデオ屋の前の自動販売機でホットコーヒーを買う。  ガコンと大きな音を立てて缶が転がり落ちた。  熱いくらいの缶を取り出して顔を上げると隣に友人がいた。 「あれれ? どうしたの?」 「べつに」  機嫌の悪そうな友人の前で、オレは立ち尽くしていた。
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