朝はもうすぐ

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   部屋が暖まるまでコートを着たままでいよう。オレはその場に座った。  台所でなにやらしていた友人はビールを片手に持って部屋に帰ってきた。   「もう風呂沸いてるから先入れば?」 「え?……うん、……あ、そうだね」  やっぱり泊まるのか。   正直風呂は魅力的。今すぐ温まりたい。  でも泊まるつもりでは、いや友人と会う予定では無かったから、少し戸惑う。  はっきりと返事をしないオレに、友人は剣呑な視線を投げつける。 「じゃあ……先入るね」  オレは観念し着替え置き場からパジャマと下着を取り出した。と、そこでコンビニでケーキを買ったことを思い出した。 「おっと忘れ物~」 「それ何買ったの」 「んー、内緒ー。後で食べよ」 「うん」  袋のままケーキを冷蔵庫に入れ、風呂に向かう。     お湯に浸かると疲れがじわじわと取れていく。
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