朝はもうすぐ

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 食べ始めると、会話が途絶えた。  部屋をお笑い芸人の笑えないジョークが回る。話しかけるべきかな、と思いながら一口、また一口ケーキを攻略する。 「あのさ、」 「ん?」  ケーキを一口で半分食べた友人が左に座るオレを見て眉根を寄せた。 「ちょっと、ここついてるよ、」 「ん? ここ?」 「……そうそう、取れた」 「ありがとー」  再び食べ始めたオレに友人が不自然に咳ばらいをした。その様子がちょっとオヤジくさいと思う。 「この間、新谷と二人で歩いてただろ?」 「うん」  新谷くんと二人で歩いたのはバイト帰りだけだ。あのとき、友人は近くにいたのだろうか、それとも誰かに聞いたのか。 「まさかと思うけど付き合ってるの?」
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