朝はもうすぐ

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「和也だよ、オレが好きなの」 「……え」    唖然とした友人を悲しく眺める。 「もう最悪」 「え?」 「帰る」  着替えコーナーに畳んでおいてた服を取りぼんやりこっちを見ている友人を睨み付けた。 「着替えるからあっちむけばか」  びくっと身体を震わせた友人は慌てて身体の向きを変えようとして動きを止めた。 「いや駄目だろ。こんな時間に電車ないだろ」 「いいよ、オレ帰りたい、どうにかするから」 「良くないよ、だいたい昭介寒いの苦手だろう。風呂入ってるし風邪ひくよ」 「最低」  冷静に諭す友人に心底腹が立つ。  探られたくなかった腹のうちをぐちゃぐちゃにしたくせに友人はもう普通に戻ってる。  なんでこんな男好きになったんだろう? 「昭介」 「話しかけないで。もう寝るから」
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