朝はもうすぐ

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 半分残ったケーキを無理矢理口に入れて、硝子戸をあけた。  流しに皿を置いて水を流す。皿を洗って水切りに立て掛けるとその横に置きっぱなしにしていたケーキのケースが目に入る。  透明のケースに赤でメリークリスマスとプリントしてある。  そうだ今日、クリスマスイブだったと思い出した。  最悪、ほんっと最悪。こんなクリスマスイブはもう、二度と経験したくない。  赤く踊った文字を見るのが辛くて台所から洗面台へ移動した。  情けない顔をしている自分を見ながらごしごし歯を磨いた。  その後歯ブラシを捨てた。  硝子戸をあけるとベッドに腰を掛けた友人が頭を抱えていた。  そりゃそうだろう、親友に告白されたんだ。  でも聞きたがった自分が悪いだろう、オレは白けた目で友人を見る。  友人は無表情でオレを見返した。  無言でベッドに潜り込むといつもの壁際による。  目を瞑り、始発まで後3時間半、長いなぁとため息をついた。
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