朝はもうすぐ

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「いや、俺言ってなかったかと思って、今日帰るの」 「ああ、そうなんだ」 「帰る前にその……会った方がいいのかと思って、その……会わなくて帰ったら昭介が寂しがるかと思って……」  最後は聞こえないほどに小さい声だった。  恥ずかしかったのだろう。友人は耳や首の辺りまで赤く染めていた。  それはそれは聞いてるほうもかなり恥ずかしい。  寂しいって…   「あ、えっと、あの、お気遣いありがとう」 「あ、いや、うん」  傍から見るとどんなにおかしいだろうか、男が二人、俯いて顔を赤くしてるこの状況。 「あ、そういえば、これ、」  オレは急いで鞄からプレゼントの包みを取り出した。  いつか渡そうと思っていたけれど、渡せなかった。テーブルの上を滑らせて包みを友人の前に差し出した。
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