朝はもうすぐ

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「もうすぐ誕生日でしょう? おめでとう」 「え……、あ、ありがとう。あ、開けていい?」 「うん、でも大したものじゃないよ」  友人は包みのテープを丁寧に剥いだ。  中は手袋だ。友人は人差し指のはらが擦れた手袋を使っていたから替わりの物がいるかなと思った。  友人はタグが付いたままの手袋を両手に嵌めた。   握ったり開いたり二度繰り返して顔を上げた。ふにゃりと崩れた表情に、オレもつられて微笑む。 「ありがとう」  久々に友人のこの顔を見た。目が弓なりでこっちまでほっこりする。 「気に入った?」 「うん」 「えへへ、やっぱりね」  友人の趣味は分かっている。長い付き合いだし。  まあ大したこだわりがある人ではないから色以外オレの趣味だけど。  満足して甘さを足したカフェラテを口に運ぶ。
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