朝はもうすぐ

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「はい、これ」  包みはそのままオレに差し出された。 「ありがと。本当にもらっていいの? もう食べちゃおうかな?」 「はは、いいよ、ほんっと甘いもん好きだな」 「うん」  受け取った包みを早速開きふわふわの丸い生地にカプリと噛みつく。  中のカスタードクリームが舌に触れた。甘くて美味しい。  作業中の友人を見ながらもぐもぐしていると、ぴたりと動きを止めた友人がちらりとオレを見た。  なにかな、と聞く前に反らされた視線はまた紙袋に移った。 「あのさ、ずっと考えてた。昭介の事」 「ああ、あ、うん」 「俺は昭介が大事だよ。友達の中で、っていうか、親友だと思ってる」  オレは慎重に頷く。
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