朝はもうすぐ

62/102
前へ
/151ページ
次へ
 紙袋を開けたり閉めたり繰り返している友人を苦い気持ちで見る。先が見える、話し方だなと思う。 「好きと言えば好きだよ。でも、その…友情以上の好きかは、分からない、今まで昭介をそんな風に考えたことなくて」 「うん、ありがとね。考えてくれて」  振られるのは分かっていた。  でも想像と現実は違う。  友人の声でゆっくり出される言葉一つ一つが突き刺さる。 「いや、…でも、ほんとに昭介が友達として大事だって思ってて、」 「うん。分かってる」  振る口上をいつまでも聞いていたくなくて、話を遮った。  友達としての最高位を貰えたとしても、友人を好きになったオレには意味がない。その気持ちは本当に嬉しいけれど。 「だから俺は今まで通り付き合っていきたいと思ってる。友達の昭介を失いたくないって思う」  手元を見ていた友人がオレを見つめる。話を終わらせる気はないみたいだ。 「うん」 「今まで通りここにも来てほしい、」 「それは、」  眉根を寄せた友人が強くオレを見る。 「突然友達を奪われたくない、そう思う俺は嫌な奴か?」
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

854人が本棚に入れています
本棚に追加