朝はもうすぐ

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「本当は一人になりたいって言うか、本当はあんまり和也に会いたくないんだ。分かってたけど、振られるってやっぱりきついし」 「そうね、しばらく会わない方がいいのかもね。藤ちゃんの好きにするといいよ」 「でも和也は友達でいたいから今まで通りがいいって。オレが好きになったのがいけないんだし、和也の思う通りにしてあげたいんだけど、気持ちがついていかない」 「そうなんだ」  新谷が黙ってしまったのでカフェオレを飲む。もう冷たくなっていた。 「でもさ、好きになったのがいけないなん聞いててて悲しいよ。……里見くんも、藤ちゃんの気持ち汲んであげたらいいのに」  目をあげると新谷が頬を膨らませていた。 「あ、でも和也はすごく気遣ってくれるし優しいよ。だいたい、男が好きって時点で気味悪がられても不思議じゃないのに、和也は全くそういう差別はしなかったもん。多分たくさん考えてくれたんだと思う。考えすぎてそのままの言葉が出ちゃったって感じかも、うん」 「藤ちゃん、……里見くんが心底好きなんだね」  目を潤ませオレを見る新谷の視線が痛い。  それはもう、その通りなのだけど、まんま言葉にされると恥ずかしい。 「うん、まあ、その、ああ、そういえば新谷くんって和也のどこらへんに惹かれたの?」  
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