朝はもうすぐ

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 照れ隠しにオレは冷えたカフェオレの飲む。もうカップの底が見えそうだ。 「えー、そりゃもちろんねえ、ほら、彼、ものすごーくセックスアピールあるタイプじゃない?」 「ゴホッ……ゴホゴホ」 「ちょっと、大丈夫?」 「あ、うん」  カフェオレが気管に入って咳込んだオレに新谷くんが端に立ててあるペーパーナプキンを三枚ほどまとめて差し出した。  口の周りも汚れてしまった。 「藤ちゃんだってそう思うでしょ。あの垂れ目顔であの体格、たまんないよね」  確かにスポーツしている訳でもないのに友人はがっしりしている。  イレギュラーで入る土方のバイトで鍛えられてるんだろう。  身体はいいとして、顔はただ優しげなパッと見頼りないようなそんな顔つきで、たまんないの意味が良く分からない。  新谷くんは両肘をテーブルについて両頬に手を当てた。  ほうとため息までついて目線は天井に向いている。  あらぬ想像をしているようだ、惚けた顔してる。 「……中学まで、和也、オレより小さかったんだよ」
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