朝はもうすぐ

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「冷蔵庫借りる」 「ん? またプリン買ってきたの? 昭介のプリン、前のも入ってるよ」 「あ、そうだったっけ?」  八畳の和室から古めかしい硝子戸をあけると狭いキッチンスペースがある。  ステンレスの流しの隣に冷蔵庫があり、開けてみると確かにプリンがあった。  友人は甘いものが少々苦手なのでこれは間違いなくオレが買ってきたものだ。  友人に彼女は今のところいない。 「ああ、あるね。あ、賞味期限今日までだ」 「じゃあ食べたら?」 「うん、風呂上がりにするわ」  今日買ったプリンとお茶を冷蔵庫に入れて和室に戻る。  オレを目で追う友人の隣に座り「乾杯しよう」と言うとやっと友人はビールを開けた。  飲んでていいのにいつもこうだ。  ぐーっとビールを煽るオレを珍しいものを見るように友人が飲む手を止め見ている。 「おいおい一気に飲んで大丈夫?」  
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