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喫茶店を出て新谷と大学に戻った。
新谷はこれから飲み会のサークルに顔を出すらしい。学生会館の前で新谷と別れたオレは、友人に貸していた本を受け取るため校内のカフェを目指した。
待ち合わせの時間にはまだ時間があるけれど、ここからカフェまでは大学の敷地を横断するので、それを考えるとのんびりもしてられない。
もうすぐ二月。寒さが最高潮なのにテニスコートでは数人がプレイしている。
この寒さに負けずオミアシを晒している女の子もいる。スコートはかわいいと思うけれど、あの恰好をしたいとは思わない。
ふと新谷は着たいのかな、と思う。
女性のように柔らかな喋り方をするからって女性になりたいかどうかは分からない。人の嗜好は千差万別だ。自分が心地よく、他人に迷惑を掛ける行為でなければ楽しんでいいような気がする。
そんなことを考えながらテニスコートを通り抜け最近立ったばかりの校舎を横切る。人通りが少ないうえ建物の谷間になるため突風が吹く。
案の定後ろからびゅうと音を立て強風がぶつかってきた。寒さを堪えて歩いていると正面からきゃあと女の子の声が聞こえた。
髪の毛の隙間まで冷気にさらされ、かっこ悪い気がするけどフードを被ったオレの横をさっき声を上げた女の子と彼氏と思われる男が寄り添って歩いていく。
寒いねと言う彼女を抱き寄せて歩いていくカップルを横目で見ながらため息を飲み込む。
ただただ、羨ましい。
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